捕獲された鳥獣を、地域の食資源に変える。
宿泊施設・飲食店・地域協議会のための、ジビエ導入支援プログラムです。実現可能性の診断から、メニュー開発、厨房での技術移転、情報発信まで伴走します。
なぜ「出せる店」が増えないのか
捕獲はされています。処理施設もあります。それでも、捕獲された鳥獣の大半は廃棄されています。理由は単純で、出口がないからです。
処理施設を増やすだけでは、回りません
食肉処理施設の整備を支援する制度は各地にあります。しかし施設ができても、処理した肉を卸す先がなければ稼働しません。ジビエは家畜肉に比べて単価が高く、部位も数量も安定しないため、一般のスーパーの棚には乗りにくい食材です。小売に流して量をさばく、という道は現実的ではありません。
一方で飲食店と宿泊施設は、一軒あたりの消費量が多く、価格も「料理」として受け止められます。コースの一皿になれば、肉の単価はそのまま値づけの根拠に変わります。処理施設の稼働を支えられる出口は、いまのところ飲食店と宿泊施設です。だからこそ、出せる店を増やすことが先決になります。
出口、つまり「ジビエを出せる店」が増えない理由は、三つの壁にあります。
- 仕入れ 猟師・食肉処理施設とのつながりがない。安定して肉が入る見通しが立たない。
- 衛生 とくに熊肉の旋毛虫(トリヒナ)リスク。火入れと管理の基準が分からない。
- 技術 解体・下処理・火入れ。家畜肉と同じようには扱えない。
この三つを外部から持ち込んで埋めるのが、本事業です。
つくるのは、地域の中で回る仕組みです

一店舗がジビエを出せるようになることが目的ではありません。捕獲した猟師に対価が渡り、処理施設が稼働し、宿と飲食店が看板料理を持ち、それを目当てに人が来る。この循環ができて初めて、駆除された命の受け皿が地域に生まれます。
肉を売るだけでは、規模が足りません
駆除された動物の肉を売る、という発想だけでは、この循環は回りません。肉そのものが生む売上は、地域経済を変えるほどの規模にはならないからです。
規模が出るのは、人が来たときです。その土地でしか食べられないものがあるから泊まる、泊まるから他の店にも寄る、土産も買う。宿泊・飲食・物販・交通まで広がって初めて、捕獲から処理までの費用を地域全体で支えられるようになります。訪日客にとって、日本の山で獲れた肉をその山のふもとで食べる体験は、都市の観光では代替できません。
そのためには、自治体と民間がそれぞれ別に動いていては足りません。捕獲と処理の体制を支えるのは自治体側、料理と宿泊と発信を担うのは民間側。この二つが同じ絵を見て動くことが前提になります。本事業では、その絵を関係者で共有するところから始めます。
支援の4フェーズ
| フェーズ | 期間 | 内容 | 現地回数 |
|---|---|---|---|
| 1. 診断・構想 | 1〜2か月 | 地域資源と捕獲状況の確認、食肉処理施設の調査、実現可能性の判定 | 1回 |
| 2. メニュー開発・技術移転 | 2〜4か月 | コース設計、現地厨房での実地指導、手順書の交付 | 月1回 |
| 3. ストーリー設計・情報発信 | 4〜6か月 | 売る物語の構築、発信設計、旅の目的化 | 月1回 |
| 4. 伴走・定着支援 | 6か月目以降 | 運用の定着確認、メニュー更新、担当者交代時の再指導 | 四半期ごと |
フェーズ3で、具体的に何をつくるのか
「情報発信を支援します」と書くだけでは何が出てくるのか伝わらないと思いますので、設計の一例を挙げます。
その地域の狩猟文化と猟師をカードにして、食事をした方にお渡しする。実際にその動物を食べた人だけが受け取れる証を用意する。それを貼り込む冊子を配り、どの店で何を食べたかが一冊に残るようにする。ここまで設計すると、一皿の料理が「その土地を巡る理由」に変わります。
どんな仕掛けが成立するかは、地域によって変わります。猟師の人数、食肉処理施設の位置、宿と飲食店の距離、すでにある観光資源。フェーズ1の診断でその地域に合う形を見極めたうえで設計します。
プラン
| プラン | 期間 | 含まれるもの |
|---|---|---|
| 診断プラン | 1〜2か月 | フェーズ1。現地調査1回と診断報告書 |
| 標準プラン | 6か月 | フェーズ1〜3。現地指導 計6回(月1回・各1〜2日) |
| 伴走プラン | 12か月 | 標準プランに加え、四半期ごとの現地フォローと定着支援 |
| 団体プラン | 応相談 | 複数施設をまとめて導入する地域向け |
費用は地域の規模・施設数・現地までの距離により異なります。お見積りと事業概要資料でご案内します。交通費・宿泊費は実費を申し受けます。
交付金の活用と、逆算したスケジュール
農林水産省「農山漁村振興交付金(農泊推進型)」の人材活用事業として、地域外の専門人材を活用する費用を補助対象経費に組み込める想定です。公募は例年1〜2月ですので、逆算すると動き出す時期は決まっています。
| 10〜12月 | ご相談・診断プランの着手。地域の実現可能性を見極めます |
| 1〜2月 | 公募。診断結果をもとに、申請書へ事業計画を組み込みます |
| 4月〜 | 採択後、メニュー開発と技術移転に本格着手 |
この秋に着手できなかった地域は、実質的に次の年度まで一年待つことになります。構想段階でのご相談でも構いませんので、早めにお声がけください。
※交付金の制度内容・公募時期・補助対象経費の範囲は年度により変わります。実際のご申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認ください。
安全・衛生についての方針
- 取り扱う肉は、正規の許可を持つ食肉処理施設を通したものに限定します。自家処理の肉は扱いません。
- 火入れ基準を書面でお渡しした上で指導します。口頭での指導だけで終わらせません。
- 熊肉については旋毛虫(トリヒナ)リスクを前提に、中心温度と保持時間の管理、生食をさせない提供設計、スタッフ交代時の再教育までを含めて組み立てます。
事故が起きたときに誰が何に責任を持つのかが曖昧な事業は、自治体として採択しづらいはずです。ここは最初に明文化してお渡しします。
実施体制
代表理事 林 育夫(ジビエ評論家)
東京・人形町と浅草でジビエ料理店「あまからくまから」を運営。これまでに扱った動物は40種類以上、アナグマだけで年間約100頭を10人の猟師から仕入れています。2026年10月14日放映のフジテレビ「ホンマでっか!?TV」にジビエ評論家として出演予定。
当法人は、本事業でお願いすることと同じ工程を、東京の2店舗で毎日自ら運営しています。仕入れの交渉も、火入れの管理も、売れないメニューの作り直しも、人に任せず自分でやってきました。机上の計画ではなく、現場で回してきたやり方をそのままお渡しします。
代表理事の詳しい経歴と取り扱い実績は ジビエ評論家 林育夫 をご覧ください。
よくあるご質問
対応エリアはどこまでですか
全国対応します。交通費・宿泊費は実費を申し受けます。
肉の継続的な供給もお願いできますか
本事業に肉の販売は含みません。地域内の食肉処理施設との取引構築を支援し、不足分は処理施設経由の卸でご紹介します。地域内で回ることが目的ですので、まず地元の施設を優先します。
既存のメニューや献立と両立できますか
できます。全面的な切り替えは勧めていません。冬季限定の1コース、あるいは1品からの導入が現実的で、定着も早いです。
担当の料理人が替わったらどうなりますか
手順書と火入れ基準を書面でお渡ししているため、引き継ぎが可能です。伴走プランでは、担当者交代時の再指導も含みます。
支援期間が終わったあと、自分たちだけで続けられますか
自走していただくことが目的です。厨房で再現できるようになるまで現地で指導し、手順書をお渡しして終了します。継続的な顧問契約は必須ではありません。
事業企画書(PDF)
背景となる獣害の数字、支援の4フェーズ、交付金との整合性、期待される効果までをまとめた企画書です(A4・8ページ)。庁内での回覧や、申請書づくりの資料としてお使いください。
お問い合わせ
初回のご相談は無料です。構想段階、庁内での検討段階でも構いません。「うちの地域でできるかどうか」の見立てからお手伝いします。
電話 03-5640-2128
メール info@kuma-katu.com
フォーム お問い合わせページ
飲食店単体でのジビエ導入をお考えの方は、ジビエメニュー導入監修サービスをご覧ください。
